相続で受け継いだ郊外の土地。固定資産税の通知が届くたびに「何かしなければ」という焦りを感じている方は少なくないでしょう。アパート経営の利回りを調べると「表面利回り8〜10%」という数字が並んでいます。ただ、その数字だけで判断すると、築15年目あたりで想定外の請求書が届くことになりかねません。

「表面利回り8%」の試算書に、修繕費と空室損失は載っていない

不動産業界では「表面利回りが高いほど優れた物件」という見方が根強くあります。数字としてわかりやすいのは確かです。しかし実際には、表面利回りが高い物件ほどリスクが積み上がっているケースが少なくありません。

表面利回りは「年間賃料収入÷物件価格×100」で計算されます。修繕費、管理費、固定資産税、空室損失は一切含まれていません。郊外の土地にアパートを新築するとき「表面利回り8%」という試算を提示されたとして、それが実態を反映しているかどうかは別の話です。

筆者自身、以前に郊外物件の収支シミュレーションを確認した際、管理費と修繕積立を加えただけで利回りが1.8%落ちた、という経験があります。「そんなに変わるのか」と驚いたのを覚えています。

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郊外アパートの「20年後」を試算すると、手残りはどう変わるか

モデルケースとして、郊外の遊休地に総工費6,000万円のアパートを建てた場合を考えてみます(実際の数値は立地・仕様・融資条件によって大きく異なります)。表面利回り8%なら年間賃料は480万円。一見すると悪くない数字です。

ところが、10年後・20年後に現実が追いかけてきます。郊外エリアでは人口減少と高齢化が進むため、空室率が都市部より高くなる傾向があります。国土交通省の調査でも、地方・郊外の賃貸住宅の空室率は都市部の1.5〜2倍程度になることが報告されています。空室率が20%に上がれば、実質的な年間賃料は384万円。そこから管理費・修繕積立・固定資産税を差し引くと、手残りは当初想定の半分以下になるケースも想定されます。

さらに見落とされがちなのが「大規模修繕コスト」です。木造アパートでは築15〜20年頃に外壁・屋根・給排水設備の更新が重なりやすく、500万〜1,000万円規模の支出が発生するケースがあります。この費用は表面利回りの計算にはどこにも出てきません。

「30年後に更地に戻したい」と思っても、入居者がいれば取り壊せない

相続対策として土地活用を考えるとき、もう一つ見直してほしい前提があります。「土地に建物を建てることが相続税対策の王道」という考え方です。借地借家法上の評価減や建物評価による相続税圧縮効果は実在します。ただし、それと引き換えに「撤退の自由」を失うことになります。

アパートを建てれば、入居者がいる限り取り壊しは容易ではありません。30年後に「別の活用をしたい」と思っても、選択肢は大きく狭まります。固定資産税の重さに悩んでいたはずが、より大きな縛りを自ら作ってしまう——そうしたケースは珍しくありません。60代の相談者(モデルケース)から「建てたときは良かったが、今となっては身動きが取れない」という声を聞くことも、実際にあります。

「固定ではなく可変」の発想——移設できる投資という選択肢

郊外の遊休地活用として近年検討されるケースが増えているのが、木造2×4構造のトレーラーハウスを使った宿泊・投資の組み合わせです。建築基準法上の「建物」ではなく「車両」として扱われるケースがあり、設置方法や自治体の判断によっては固定資産税の課税対象外になることがある点が、アパートとは大きく異なります(導入前に自治体および専門家への確認が必須です)。

PACO INVESTが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。アパートと比べて初期投資の規模が異なるぶん、運用の柔軟性は高くなります。気候や需要の変化に応じて移設・撤去できる点は、「撤退できない投資」との対比で検討に値するかもしれません。想定利回りはモデルケースで10〜20%とされることもありますが、立地・稼働率・運営コストによってケースごとに異なります。

まず「実質利回り」を自分で計算してみる、それだけでいい

今すぐ何かを始める必要はありません。まずは、提示されている「表面利回り」の数字が実質利回りとどれだけ乖離しているかを確認するところから始めてみてください。管理費(賃料の5〜10%程度)・修繕費・空室損失・大規模修繕を加味した実質利回りを試算すると、アパート経営の見え方が変わることがあります。

そのうえで、撤退しやすい仕組みかどうか、固定資産税への影響はどうか、20年後の人口動態と合っているかを照らし合わせると、自分の土地にとって現実的な選択肢が絞られてくるはずです。

よくある質問

アパート経営の表面利回りと実質利回りは、実際どのくらい差があるものですか?

管理費(賃料の5〜10%程度)・修繕費・空室損失を差し引くと、実質利回りは表面利回りより2〜4%程度低くなるケースが多いとされています。郊外エリアでは空室率が上がりやすいため、差がさらに開くことも想定されます。あくまで目安であり、物件ごとに条件が異なりますので、個別に試算することをおすすめします。

相続税対策としてアパートを建てる場合、税制上の効果はあるのでしょうか?

アパートを建てると、土地は「貸家建付地」として評価が下がり、建物自体も固定資産税評価額で相続税が計算されるため、更地のまま保有するより相続税評価額が圧縮される効果が想定されます。ただし、空室が多い場合は評価減の適用が制限されるケースもあります。税制は改正されることがあるため、税理士への事前相談を強くおすすめします。

トレーラーハウスは固定資産税がかからないと聞きましたが、本当ですか?

トレーラーハウスが「車両」として扱われる場合、土地に定着した「建物」と異なり、固定資産税の課税対象外となるケースがあります。ただし、設置の方法(電気・水道・ガスの接続状況など)や自治体の判断によって扱いが異なります。導入前に自治体および専門家への確認が必須です。この記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘ではありません。税制上の取り扱いは個別の状況によって異なります。