iDeCoもNISAも始めた。でも「これだけじゃ足りないかも」という感覚が拭えない。そんな30代前半の方から、中古アパート投資についての質問をよくいただきます。節税と副収入の両方に関心があるけれど、どこから調べればいいかわからない——今日はそのモヤモヤに、できるだけ正直にお答えします。
「中古のほうが安全」は、条件次第で逆転する
「中古のほうが利回りが高い」「実績が見えるから判断しやすい」という話は確かによく聞きます。ただ、これは半分正解で半分は条件次第です。
中古アパートの明確な利点は、すでに入居者がいる「オーナーチェンジ」物件であれば、購入初月からキャッシュフローが発生するケースがあること。新築と違って竣工リスクもありません。
ただし、築年数によっては大規模修繕が数年以内に必要になる場合があります。外壁・屋根・給排水管の状態は必ず専門家に確認してください。私自身、初期の試算で「表面利回り8%」の物件を検討していたとき、1年目に修繕費200万円が発生するシナリオを見落とし、実質利回りが2%台まで落ちる計算になって青くなった経験があります。表面利回りだけで判断するのは危険で、実質利回りと修繕積立の余地を含めて読む必要があります。
年収550万円・32歳で融資はどれくらい通るか
金融機関・物件・個人属性によって幅があるため断言は避けますが、会社員で住宅ローンなし・年収550万円という属性は、不動産融資の審査上は比較的通りやすい部類とされることが多いです。
融資額の目安としては、年収の7〜10倍程度で話が進むケースが多い印象ですが、物件の収益性・担保評価・勤続年数・自己資金の有無によって大きく変わります。「頭金ゼロでスタートできる」という情報を目にすることもありますが、実際には頭金10〜20%を求められるケースが一般的です。フルローン前提で計画を組むと、後で資金計画がずれることがあります。
まず金融機関に事前相談するのが一番早い。銀行の窓口より、不動産投資に慣れた地銀や信金に当たるとスムーズなことが多いです。
「節税になる」の中身——減価償却が終わった後に何が起きるか
アパート投資で語られる節税の多くは、減価償却を活用した所得圧縮効果のことです。建物部分は耐用年数に応じて毎年経費として計上でき、その分だけ課税所得が下がります。中古物件は耐用年数が短い分、減価償却を短期間に集中させられるケースがあり、節税効果が出やすいとされます。
ただし注意点が二つあります。一つ目は、減価償却が終わった後は税負担が元の水準に戻ること。二つ目は、売却時に「減価償却した分だけ帳簿価格が下がる」ため、譲渡所得税が増える可能性があること。短期的な節税を優先しすぎると、出口で想定外の課税が発生するケースがあります。不動産に詳しい税理士への相談は、物件を探し始める前の段階でしておくことをお勧めします。
アパートとトレーラーハウス、何が根本的に違うのか
最近よく聞かれる質問です。私自身がアパート経営の後にトレーラーハウス投資(PACO INVESTの木造2×4構造)を検討し始めた理由と重なるので、少し正直にお伝えします。
アパートは土地・建物を一体で取得し、修繕・管理コストが重い反面、融資を組みやすい。トレーラーハウスは「車両」として扱われるケースがあり、固定資産税の扱いや減価償却の期間がアパートと異なる場合があります。取得価格は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。Airbnbでの宿泊事業として運用するPACO Stayのようなスキームでは、想定利回り10〜20%で試算されることがありますが(モデルケース)、稼働率や立地によってケースバイケースです。
「どちらが正解か」ではなく、自己資金の規模・目的(節税重視か収入重視か)・管理に関われる時間によって向き不向きが変わります。どちらか一方に絞り込む前に、両方の収支モデルを並べて比較することをお勧めします。
物件を探す前に終わらせておくべき3つのこと
「まず物件を探す」より先にやってほしいことが三つあります。①自分の借入余力を金融機関に確認する、②税理士(できれば不動産に詳しい方)に現在の年収・所得構成を話してみる、③気になる物件の実質利回りを自分で計算してみる——この順番です。
この三つを先に済ませておくと、物件を見に行ったときの「目線」がまったく変わります。セミナーに参加する前にここまで終わらせておくと、営業トークに流されにくくなります。地味ですが、これが一番効く準備だと実感しています。
よくある質問
中古アパートの利回りは何%あれば「合格ライン」ですか?
表面利回りだけでは判断できませんが、実質利回り(空室損・管理費・修繕費を控除後)が5〜6%以上あれば収支として検討に値するケースが多い印象です。ただしエリア・築年数・融資金利によって「合格ライン」は変わります。あくまで参考値として扱ってください。
住宅ローンを将来組む予定があるのに、投資ローンを先に組んで大丈夫ですか?
投資用ローンを先に組むと、住宅ローンの審査に影響が出る場合があります。与信枠が圧迫されるケースがあるため、住宅購入の時期が3〜5年以内に迫っているなら、金融機関と事前に相談することをお勧めします。ローンを組む順番の設計が、後々の選択肢を大きく左右します。
副業禁止の会社に勤めていますが、アパート投資は問題ありませんか?
一般的に、不動産賃貸による所得は「事業的規模」に達しない範囲では副業規制の対象外とされるケースが多いです。ただし会社の就業規則の内容によって異なる場合があるため、規則の文言を確認するか、コンプライアンス担当に相談することをお勧めします。法的な判断は専門家にご確認ください。