資産の組み替えを検討している経営者の方から「正直なところを教えてほしい」という問い合わせをいただくことがあります。年商規模も、税対策への切迫感も、40代後半という年齢も——今まさに資産戦略を見直している方なら、似たような問いを抱えているかもしれません。今回はモデルケース(架空の設定)をもとに、アパート経営の「実際のところ」を整理してみます。
「表面利回り7.8%」の試算書に、なぜ手取りの数字がなかったのか
Tさん(仮名・47歳・製造業経営)は、2年前に知人の紹介でアパートを1棟購入されました。当時の試算書には「表面利回り7.8%」と書かれていて、顧問税理士からも「所得圧縮になりますよ」と背中を押されたそうです。
ところが1年後、Tさんから「なんか思ってたのと違う」という連絡が来ました。話を聞くと、減価償却で帳簿上の損失は出ているのに、手元のキャッシュはほぼ増えていない。空室が1戸出ただけで月次キャッシュフローがマイナスに転じる構造になっていたのです。節税のために買ったはずが、キャッシュの流出口になっていた。
これはアパート経営そのものの問題というより、管理費・修繕積立・ローン返済・固定資産税を差し引いた「実手取り月額」を、購入前に確認していなかったことが原因と考えられます。表面利回りと実手取りの間には、物件によっては月額で数万〜十数万円の乖離が生じるケースもあります。そこが分岐点でした。
不動産投資の現場では、試算書の「表面利回り」だけが前面に出され、実質利回りの精査が後回しになるケースが少なくないと指摘されています。実質利回りが3%台にとどまる案件でも、表面利回りの数字だけを見て判断してしまうことが、後の「思っていたのと違う」につながりやすいと編集部では考えています。
「10年後に誰が買うんですか?」——出口を最初に聞かなかった代償
Tさんのケースでもう一つ気になったのが、出口戦略がほぼ考えられていなかったことでした。築20年超の木造アパートを地方都市で購入したのですが、「売れるか」という問いに対して、ファイナンシャルプランナーも仲介業者も明確な答えを出していなかったそうです。
不動産投資のリスクは「買えるかどうか」ではなく「出られるかどうか」にあります。市場動向を踏まえると、地方の古い木造アパートの流動性は、強気の市況でも思いのほか低いケースが多いとされています。「売れない資産」を抱えることが、経営者にとって大きなリスクになり得ます。
Tさんが後から「最初にこれを聞けばよかった」とおっしゃっていたのは、「この物件、10年後に誰が買うんですか?」という一言でした。シンプルですが、これが答えにくい投資は、慎重に検討する価値があります。
Tさんがトレーラーハウスを選んだ理由は「数字を最初から見せてもらえた」から
その後Tさんは、PACO INVESTのトレーラーハウス投資への切り替えを決断されました。決め手を聞くと、「構造上、移動・撤去ができるという点と、Airbnb運用での稼働実績の数字を最初から提示してもらえたこと」とのことでした。
木造2×4構造のトレーラーハウスは、設置状況等によっては建築物ではなく車両扱いとなるケースがあります。これが減価償却期間や固定資産税の扱いに影響することがあり、税理士に確認すると「動かしやすい資産だ」と評価されるケースも想定されます(個別の状況により異なります)。
初期投資は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変動しますが、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース/物件仕様や立地で変動)です。アパート1棟と比べると小さな単位で動けるため、「まず1台で試してから判断する」という進め方が取りやすく、スピードと柔軟性を重視する経営者には合いやすいようです。
Tさんの場合、現在1台運用して約1年が経ちます(モデルケース・架空の設定)。稼働状況やキャッシュフローの実数は個別案件のためここでは触れませんが、「アパートのときより手元の動きが読みやすい」という評価が想定されるケースとして参考にしてください。
「何が読めて、何が読めないか」を言語化してから動く
資産防衛を考える45〜50代の経営者に共通して言えるのは、「投資の前に、自分のリスク許容を言語化してほしい」ということです。Tさんのモデルケースでは「空室リスクをコントロールしにくい構造」と「出口の不透明さ」が意思決定の性質と合っていなかっただけで、アパート経営が全員に向かないわけでも、トレーラーハウスが全員に向くわけでもありません。
試算書を見るとき、「表面利回り」の行より先に「手取り月額」と「10年後の出口想定」の行を確認する習慣が、判断の精度を上げます。その2行が答えにくい案件は、もう少し時間をかけて検討する価値があります。
手元の提案資料を「最終ページから」開いてみてください
もし今、アパート経営の提案資料を手元に持っているなら、最終ページや付録の収支表を先に開いてみてください。元本返済額、空室損失想定、10年後の残債と売却想定価格——この3行が現実的かどうかを確認するだけで、判断の解像度がかなり変わります。
「1年後に違和感を覚える」ではなく、「購入前に違和感を言語化できる」状態を作ることが、経営者の資産判断には大事だと編集部では考えています。具体的な数字の読み方で迷うことがあれば、PACOのポータルでも個別の情報提供を受け付けていますので、参考にしていただければ幸いです。
よくある質問
アパート経営とトレーラーハウス投資、税対策としてどちらが有利ですか?
一概にどちらが有利とは言えず、個人の所得状況・法人の収益構造・保有期間の見込みによって異なります。減価償却を活用した所得圧縮効果は双方に想定されますが、償却期間や固定資産税の扱いが異なる場合があります。必ず税理士と個別に試算することをお勧めします。
アパート経営は融資なしで始めることはできますか?
自己資金のみでの購入も理論上は可能ですが、アパート1棟の総投資額は数千万〜1億円超になるケースも多く、実際には融資を活用する場合が大半です。融資条件(金利・期間・担保評価)によってキャッシュフローの構造が大きく変わるため、融資条件の読み解きは購入前の重要なステップです。
トレーラーハウス投資はアパート経営の「代替」として考えてよいですか?
性質が異なるため「代替」というより「選択肢の一つ」として検討いただく方が正確です。運用規模・立地の選び方・Airbnb等を通じた稼働管理の手間など、アパートとは異なる実務が伴います。PACO INVESTでは木造2×4構造のトレーラーハウスをベースに、PACO Stayとしての宿泊運用サポートも行っていますが、個別の事情に合わせてご検討いただくことをお勧めします。