区分マンション2戸にアパート1棟。ポートフォリオとしての形は整ってきた。でも次の一手を考えるとき、「利回り何%の物件を探すか」という思考に自然となっていませんか。じつはその「利回りで物件を選ぶ」習慣の中に、規模拡大を阻む落とし穴が潜んでいることがあります。

表面利回り8%超の地方物件を「数字が良い」という理由だけで検討し、出口シミュレーションを後回しにしたまま話を進めるケースは珍しくありません。融資審査の段階で売却見込み価格を試算して初めて、「10年後に買い手がほぼつかない物件」だと気づく——そうした事例が実際に報告されています。物件を見る順番を変えることが、規模拡大の突破口になることがあります。

「高利回り物件を探す」という行動が、売り時の選択肢を削っている

「利回りが高い物件を買えば、投資効率が上がる」——多くの投資家が持つ前提です。ただ少し立ち止まると、利回りが高い物件とは多くの場合「価格が下がっている理由がある物件」でもあります。

築古・地方・人口減少エリア・賃料下落傾向——これらが重なると、表面利回りは10%を超えることもあります。数字だけ見れば魅力的に映ります。ところが出口(売却)を想定したとき、その物件を「次に買う人」が現れるかどうかが、そもそも怪しくなります。

高利回り物件の多くは融資がつきにくいか、融資条件が厳しくなります。現金購入か自己資金比率の高い買い手にしか売れない物件は流動性が低く、出口で価格を大幅に下げる必要が生じるケースがあります。

▶ 数字で確認したい方へ
あなたの条件で、月いくらが想定されるか
無料で試算してみませんか?
無料シミュレーションを受け取る →
30秒入力 · 完全無料 · しつこい営業なし

「実質利回り」よりも先に確認すべき問いがある

実質利回りの計算(空室率・管理費・修繕積立を引いた手取り)は大切です。ただ、それだけでは足りない。編集部が投資家へのヒアリングを通じて見えてきたのは、経験を積んだ投資家ほど最初に「10年後にこの物件は誰に・いくらで売れるか」という問いを立てているという点です。

モデルケース(架空の設定)で考えてみます。「築15年・木造・地方都市・表面利回り9%・取得価格5,000万円」の物件を取得したとします。10年後は築25年。木造の法定耐用年数は22年なので残存耐用年数はほぼゼロ。融資評価は大きく下がり、売却価格が2,000万円を割るシナリオも想定しておく必要があります。10年間の家賃収入と売却損を合算すると、「思ったより手元に残らなかった」という結論に至るケースは少なくないと考えられます。

表面利回り5%の物件が、10年後に高利回り物件を上回ることがある理由

逆のパターンも見ておきましょう。都市近郊の築浅RC造、表面利回り5〜6%。「低すぎる」と敬遠されがちな水準ですが、銀行融資がつきやすく、買い手も現れやすい。10年後の売却価格が取得価格と大きく変わらないシナリオが描けるケースがあります。

モデルケース(架空の設定)では、5%で10年間回してキャピタルロスが小さければ、トータルリターンは「利回り10%で回して売却時に3,000万円の損」より大きくなる試算になります。利回りの高低は入口の数字で、投資の成否は出口を含めた全体の数字で決まります。この当たり前のことが、利回りという「見やすい数字」に引っ張られると見えにくくなります。

別アセットを持つことが「出口ロジックの分散」になる

規模拡大か分散かで迷っているなら、「出口戦略が異なるアセットを持つ」という観点を一つ加えてみることをお勧めします。たとえばトレーラーハウスを活用した宿泊投資は、建物の法定耐用年数の考え方がアパートとは異なり、移設・撤去というオプションがあります。立地に縛られた不動産とはリスク構造が違うため、ポートフォリオの中での役割が変わってきます。

PACO INVESTのトレーラーハウス(木造2×4構造)を例に挙げると、初期投資は物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変動し、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いですが、仕様や立地によって上下します。想定利回りはモデルケースで10〜20%程度とされていますが、運用状況によって異なります。アパートと同じ軸で比較するより、「アパートとは別の出口論理を持つ投資」として位置づけると、ポートフォリオ全体の見え方が変わってくることがあります。

次の一手の前に、今の「出口価格」を4行で書き出してみる

既存のアパート1棟について、今の想定売却価格を具体的に書き出したことはありますか。①取得価格、②現在の残債、③想定売却価格、④売却コスト——この4つを並べるだけで、今のポートフォリオの実態が見えてきます。そこから次の一手を考えると、「利回りが高い物件を探す」とは別の基準が浮かび上がってくることがあります。

大きな判断の前に、小さな数字の整理を一つだけやってみる。それだけで、選択肢の見え方はかなり変わります。

よくある質問

高利回り物件はそもそも買ってはいけないのでしょうか?

そういう意味ではありません。出口を含めたトータルの数字が成立するなら、高利回り物件にも十分な合理性はあります。問題になるのは、表面利回りの高さだけを根拠に購入判断をするケースです。融資条件・売却見込み・修繕費用の現実を正確に織り込んだ上で判断するなら、高利回り物件は選択肢の一つとして成立します。

アパートとトレーラーハウスでは、融資の考え方はどう違いますか?

アパートは土地・建物を担保に不動産融資が組まれるケースが多いのに対し、トレーラーハウスは動産・事業性融資として扱われることがあり、金融機関によってスタンスが異なります。融資条件は申込者の属性・金融機関・物件の事業計画によって大きく変わるため一概には言えませんが、アパート投資と同じ感覚で融資交渉に臨むと想定外の条件になることもあります。事前に複数行に相談するのが現実的です。

既存のアパートを売らずに分散投資を進めることはできますか?

可能なケースもあります。既存アパートを売却せずに、追加融資または自己資金で別アセットに入るという選択肢は実際に取られることがあります。ただし、総与信枠・キャッシュフローのバッファ・既存ローンの残債比率によって選択肢の幅は変わります。「今の状態で次の融資がどれだけ引けるか」を金融機関に確認してから動く順序が、結果的にロスが少ないと考えられます。