区分マンション2戸、アパート1棟と積み上げてきた。次の一手を考えているのに、なぜか手が止まる。その感覚、実は数字を真剣に見ている人ほど起きやすいと思っています。今回は「アパート経営の利回り」を軸に、同じ局面でよく受ける質問を整理してみました。

「表面8%と聞いて買ったら、手残りは4%だった」——この乖離はなぜ起きるのか

管理費・修繕積立・固定資産税・空室損を引いた実質利回りは、表面から2〜3ポイント落ちることが多いです。モデルケースで試算すると、木造アパート・築10年・表面利回り8%・満室家賃収入年240万円という前提で、管理委託料5%・年間修繕費30万円・固定資産税15万円・空室率10%を差し引くと、実質利回りは概ね4〜5%台に落ち着く想定です。「8%と聞いて買ったら4%だった」という感覚は、珍しくありません。

さらに厳しいのは、築年数が上がると修繕費が読みにくくなる点です。給湯器・外壁・屋根の交換が重なるタイミングが来ると、一年で数百万円が飛ぶこともあります。私自身、1棟目で外壁と給湯器の交換が同じ年に重なり、その年の実質利回りが試算を1.5ポイント以上下回った経験があります。「修繕リザーブをいくら積んでいるか」を初期試算に入れているかどうかが、経験者と初心者の分かれ目だと感じています。

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融資審査が厳格化した今、2棟目・3棟目の壁はどこにあるのか

2018年以降、金融機関のアパートローン審査は明らかに厳しくなりました。かつては積算評価が高ければ通りやすかった地方木造アパートも、今は「収益還元評価」で弾かれるケースが増えています。地方の高利回り物件でも「賃料下落リスク」として収益評価を低く見積もられ、希望額まで融資が出ないことがあります。

既に1棟持っている方の場合、2棟目・3棟目はさらに属性審査が厳しくなります。年収800万円という水準は審査上の強みになりますが、既存ローンの残債が多いと「総返済比率」で引っかかることもあります。融資条件によっては自己資金を厚めに積んでのスタートが現実的になるケースもあり、ここを甘く見て計画を組むと、キャッシュフローが想定より薄くなります。

同じアパートをもう1棟か、別アセットへの分散か——判断の軸はどこに置くべきか

正直「どちらが正解」とは言い切れません。ただ、アパートから一部分散を検討する際に私が判断の軸にしたのは「出口の多様性」でした。アパートは売却時に築年数・立地・市況の3つが重なって、思ったより買い手が限られることがある。特に地方の木造アパートは、10年後の流動性リスクが読みにくいと感じていました。

一方で、別アセットにはそれぞれ固有のリスクがあります。たとえばPACOが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスを使った投資は、Airbnb等での宿泊運用(PACO Stay)が前提になるため、稼働率の変動リスクや運用手間が伴います。想定利回りはモデルケースで10〜20%のレンジで検討されることがありますが、立地・運用の質・季節変動によって大きく異なります。「分散」はリスクを消すものではなく、リスクの種類を入れ替えるものです。

「10年後に売れる」と思い込む前に——出口を逆算すると何が見えるか

最初に確認すべきは「誰が買うか」です。自分が売る側になったとき、その物件を次に買うのは実需の居住者なのか、次の投資家なのか、業者なのかで、出口価格は大きく変わります。投資家向けなら利回りで評価される。業者買取なら解体・更地で計算される。この前提が曖昧なまま進むと、出口で詰まります。

次に確認すべきは「金利上昇シナリオ」です。変動金利でフルローンに近い状態で買っている場合、金利が1〜2%上がると月々のキャッシュフローが逆転するケースがあります。モデルケースとして「変動金利2.5%・融資期間30年・物件価格5,000万円」で試算すると、金利が1%上昇するだけで年間返済額が数十万円単位で増える想定です。3棟目を考えているなら、既存2棟の金利リスクも含めてポートフォリオ全体で確認することをお勧めします。

「今は動かない」も、れっきとした戦略になる

ここまで読むと「じゃあ何もできない」と感じるかもしれませんが、そういう話ではありません。数字に厳しい投資家ほど、「今は動かない」という判断を意識的にできます。現状保有の2戸+1棟のキャッシュフローを丁寧に点検し、修繕リザーブと融資余力を把握した上で次の判断をする。それだけでも、次のステップの選択肢が変わってくるはずです。

アセットの分散を検討している方は、トレーラーハウス投資のような異なる構造の商品について、初期投資のレンジ(1台あたり概ね990万〜1,500万円程度で検討されるケースが多いですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)や運用モデルを比較材料として知っておくだけでも、判断軸が広がります。投資判断はあくまでご自身の状況と専門家への相談を踏まえた上でお願いします。

よくある質問

アパートの利回りは何%あれば「合格」ですか?

一概には言えませんが、現在の融資コストや修繕リスクを考慮すると、実質利回りで5〜6%以上を一つの目線にする方は多いです。ただし立地・築年数・融資条件によって判断基準は変わります。表面利回りの数字だけで判断せず、実質利回りに落とし込んでから比較することが先決です。

既存アパートの融資が残っている状態で、次の融資は通りますか?

属性・既存残債・物件評価によって異なります。年収800万円台は審査上の強みになりますが、既存ローンの残債が多い場合は総返済比率で制限がかかることがあります。1行だけでなく複数の金融機関に打診し、条件を比較することをお勧めします。

アパートとトレーラーハウス投資、どちらがリスクが低いですか?

リスクの種類が異なるため単純比較は難しいです。アパートは空室・修繕・流動性リスクが主。トレーラーハウスの宿泊運用は稼働率変動・季節性・運用手間のリスクが伴います。「どちらが低いか」より「どちらのリスクを自分がコントロールできるか」で判断する方が現実的です。