不動産投資に興味はあっても、「他の選択肢と比べてどうなのか」が整理できないまま、なんとなく調べ続けている——そんな状態の方は少なくないはずです。今回は、すでに株式や投資信託を保有しながら次の一手を探している経営者の方に向けて、アパート経営の利回りを他の資産クラスと横に並べ、それぞれの向き不向きを整理します。

「利回り8%」と「利回り4%」、同じ単位で比べていいのか

アパート経営でよく目にする「表面利回り8%」と、REITの「分配利回り4%」を並べると、単純にアパートが有利に見えます。ただ、この2つの「利回り」は計算のベースがまったく異なります。アパートの表面利回りは満室想定の年間家賃を購入価格で割ったもので、空室・修繕・管理費・税金は一切引かれていません。

一方、REITの分配利回りはファンドがコスト控除後に分配した金額を基準にしています。正確に比べるなら、アパートは「実質利回り(ネット利回り)」に換算する必要があります。諸経費を差し引いた実質ベースでは、表面利回り8%のアパートが5〜6%台に収まるケースは珍しくなく、REITとの差は思ったより縮まります。

私自身、最初に比較表を作ったとき、この換算を怠って「アパートの圧勝」と早合点した経験があります。実質利回りに直した途端、選択肢の景色がかなり変わりました。

▶ 数字で確認したい方へ
あなたの条件で、月いくらが想定されるか
無料で試算してみませんか?
無料シミュレーションを受け取る →
30秒入力 · 完全無料 · しつこい営業なし

「得意なこと」を一枚に並べると、選び方が変わる

比較を整理するために、主要な選択肢をざっくりマッピングします。あくまで傾向の整理であり、個別状況によって大きく異なります。

アパート経営——レバレッジと節税が効く分、出口が重い

融資を使ったレバレッジが利く分、自己資金に対するリターンを大きく見せやすい構造があります。また、減価償却を活用した所得圧縮効果が想定されるため、年収1,800万円クラスの高所得者には節税文脈で語られることが多いです。ただし、空室・修繕・金利上昇のリスクがあり、流動性は低い。売りたいと思っても数ヶ月〜1年かかることは珍しくありません。

株式・投資信託——分散と流動性は高いが、全資産が同時に動く

すでに保有されている方が多いと思いますが、流動性と分散のしやすさが最大の強みです。ただ、価格変動が激しく、市場全体が下落した場面では保有資産が一斉に動くリスクがあります。「資産分散」として不動産を検討する動機のひとつが、株との非連動性であることは理にかなっています。

REIT——不動産の分散効果を持ちながら、実は株と連動しやすい

不動産の分散投資効果を持ちながら、株式市場で売買できる流動性が特徴です。ただし、金利環境に敏感で、株式との連動性も無視できません。純粋に「不動産として分散したい」という目的であれば、現物不動産との組み合わせが検討されることがあります。

定期預金・現金保有——安全だが、インフレ下では購買力が静かに減る

金利上昇局面でも依然として利回りは低水準です。インフレが続く環境では、実質的な購買力が目減りするリスクがあります。スピードと確実性を重視する経営者ほど、現金の過剰保有は「機会損失」として意識されているのではないでしょうか。

節税で始めたアパートが5年後に重荷になるのは、なぜか

所得税・住民税の限界税率が50%を超える水準では、減価償却費を活用した所得圧縮効果は計算しやすくなります。ただ、節税効果は「支出を先送りしている」側面があります。減価償却が終われば課税所得は元に戻り、売却時には譲渡税が発生します。

相談を受けた40代の経営者の事例(モデルケース)では、木造アパートを購入後4年で減価償却が急激に減少し、キャッシュフローが黒字なのに課税所得が増えて手残りが想定を下回った、というケースがありました。出口戦略を描かずに入ると、こうした展開になりやすいパターンです。

また、法人で保有するか個人で保有するかによって、税務上の扱いがまったく異なります。年商1.5億円規模の法人を持つ経営者であれば、法人と個人の使い分けを税理士と事前に設計することが、後からの「こうすればよかった」を減らす上で現実的な手順です。

比較の地図にトレーラーハウス投資を置くとしたら、どこか

PACO INVESTが扱うトレーラーハウス(木造2×4構造)は、アパート経営と比較する際にいくつか異なる特性があります。建物が車両扱いになるため固定資産税の扱いが異なり、土地を所有せずに運用できるケースがあること、また立地によってAirbnb等の短期運用との相性が良い点などです。

1台あたりの初期投資は、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変動しますが、概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多いです(モデルケース)。モデルケースでの想定年間収益は60〜90万円前後とされますが、稼働率・運用形態によって上下します。アパート1棟とは単純比較できませんが、「初期ロットを小さくしながら不動産系の資産に入りたい」という方の検討候補として挙がることがあります。

比較表を「自分の数字」で埋めるまでは、意思決定できない

資産クラスの向き不向きを抽象論で理解しても、実際の意思決定には個人の税率・手元流動性・時間軸・リスク許容度を代入した試算が必要です。「自分の数字でシミュレーションしたら何が見えるか」を税理士や信頼できるアドバイザーと一度整理することが、スピードと確実性を両立するための現実的な入り口だと考えます。

よくある質問

アパート経営とREITは、どちらが節税向きですか?

高所得者の節税文脈では、現物のアパート経営のほうが減価償却を活用した所得圧縮効果を期待しやすいとされています。REITは分配金が配当所得として課税されるため、節税効果はほぼありません。ただし、アパートの節税効果は減価償却期間終了後に薄れるため、出口戦略を含めた長期試算が必要です。個別の税務については必ず税理士にご確認ください。

不動産未経験でも、いきなりアパート経営は現実的ですか?

融資審査・物件選定・管理体制の構築など、初手で判断が必要な項目が多く、未経験のまま単独で進めるのはリスクがあります。まず小規模な物件から始める、あるいは初期ロットが小さい別の不動産系アセットで運用の感覚を掴んでから規模を拡大する、という段階的なアプローチが採られるケースもあります。

法人名義と個人名義、アパート購入はどちらが有利ですか?

一概にどちらが有利とは言えず、現在の法人の利益水準・個人の所得税率・将来の相続設計・融資条件などによって判断が変わります。年商1.5億円規模の法人を持つ場合、法人で保有することで役員報酬との組み合わせによる節税効果が想定されるケースもありますが、融資条件や出口の柔軟性とのトレードオフも存在します。必ず税理士・会計士と事前に設計されることをお勧めします。