相続で引き継いだ土地の固定資産税通知が届くたびに「何かしなければ」と感じながら、アパートを建てるべきかどうか決めあぐねている——そういった地主の方から相談をいただくことがあります。今回は、業界で長年「常識」とされてきたある前提を、少し立ち止まって疑ってみたいと思います。

「土地があるならアパート」という前提、郊外では今も通じるのか

不動産業界には長年、「遊休地があれば建物を建てて収益化する」という暗黙のセオリーがあります。特に地主の方には「土地はあるんだから、あとは建物だけ」というロジックで、アパート建設を勧められるケースが少なくありません。筆者自身、賃貸仲介に15年携わっていたので、その空気感はよく知っています。

ただ正直に言うと、このセオリーが前提としている「立地」や「需要」が、今の郊外ではかなり怪しくなっています。全国の空き家率は過去最高水準で推移しており、郊外の新築アパートが「建てたはいいが、入居者が集まらない」という状況は決して珍しくありません。仲介業者時代に担当した物件でも、竣工から半年で入居率が3割を切ったケースを見ています。数字は個別の条件次第ですが、需要の読み違いが招く結果は想像より早く来ます。

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「建物を建てれば節税になる」——その裏でキャッシュフローが詰まるとき

相続税対策としてアパートを建てると、土地の評価額が貸家建付地として約18〜20%程度下がり、建物評価も固定資産税評価額をもとに算定されるため、相続税を圧縮する効果が想定されます。これは事実です。ただ、この効果を得るために、多くの場合は数千万〜1億円超の建設ローンを抱えることになります。

「節税にはなったが、毎月のローン返済と修繕積立で手元に残るお金がほとんどない」——そういった状況に陥っているケースがあります。税負担は減ったのに、キャッシュフローは苦しい。相続対策のために始めたはずが、次の相続でその借金ごと子どもに渡す結果になることもゼロではありません。

あくまでモデルケースでの話ですが、土地評価の圧縮効果と、ローン残債・運営コストのバランスをセットで試算しないと、「節税したつもりが、財産を目減りさせていた」という逆転現象が起きることがあります。税理士を交えた試算は、検討の入口ではなく出発点として位置づけることをお勧めします。

撤退できない投資は、リスクが「見えにくい」だけで確かにある

アパート経営の話をするとき、見落とされがちなのが「出口の難しさ」です。建物を建ててしまったら、更地に戻すには解体費用がかかります。売却しようにも、築年数が進んだ木造アパートは買い手が限られ、思ったような価格がつかないことがあります。筆者が仲介業者時代に反省したのも、まさにここです。利回りの数字を先に見せてしまい、「出口でどう動けるか」を一緒に考えることが後回しになった案件がありました。

対照的に、近年は「移動できる構造物」を使った土地活用が少しずつ注目されています。たとえば木造2×4構造のトレーラーハウスを活用したPACO INVESTのような商品は、設置状況によっては固定資産(家屋)として課税されないケースがあり、土地に縛られる形が従来のアパートとは異なります。Airbnbでの運用実績(評価4.8台)を持つ事例もあり、「宿泊需要のある立地かどうか」との相性が問われますが、撤退の柔軟性という観点では一定の意味があると感じています。

初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事の内容によって上下します。アパートと単純比較できるものではなく、立地特性や需要の読み方で結果は大きく変わります。

「向いている活用法」は、その土地が何を持っているかで変わる

郊外の遊休地だからといって、すべてが同じ選択肢になるわけではありません。観光地や幹線道路沿いの土地なら宿泊・商業系の需要が読みやすく、住宅需要が薄い地域ならアパートより用途を変えたほうが合理的なケースもあります。

逆に、駅から徒歩10分以内・都市部への通勤圏内であれば、アパートの需要はまだ十分あります。大事なのは「建てること」を目的にせず、その土地に何を求める人がいるかを先に調べることです。立地の需要を外した物件は、利回りの数字がどれだけよく見えても、空室率が押し上げて全く異なる結果になります。これは仲介の現場で繰り返し見てきたことです。

「その土地を誰が、何のために使いたいか」を整理するだけで、判断の精度は変わる

相続対策として焦る気持ちはわかります。ただ、アパートを建てる前にやっておいてよかったと思う作業が一つあるとすれば、「その土地を誰が、何のために使いたいか」を整理することです。自治体の人口推移データや、Airbnbの宿泊需要マップ(無料で閲覧できます)を見るだけでも、判断の精度が変わるケースがあります。

PACO Blogでは、アパート以外の土地活用に関する情報も順次まとめています。選択肢の幅を持っておくことが、地主の方にとって最初の財産だと考えているからです。まずは手元の土地の現状を紙に整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問

郊外の遊休地にアパートを建てると、相続税はどのくらい変わりますか?

一般的に、賃貸用建物を建てると土地の評価額が貸家建付地として約18〜20%程度下がるケースが多く、建物評価も固定資産税評価額をもとに算定されるため、相続税評価を圧縮する効果が想定されます。ただし、その圧縮効果とローン残債・運営コストのバランスが重要で、個別の条件によって実態は大きく異なります。税理士を交えた試算を必ず行ってください。

トレーラーハウスは固定資産税がかからないと聞きましたが、本当ですか?

移動可能な状態にあるトレーラーハウスは、固定資産(家屋)として課税されないケースがあるとされています。ただし、設置状況や自治体の判断によって扱いが異なることがあり、必ずしも非課税になるとは限りません。導入前に自治体や専門家への確認をお勧めします。

アパートとトレーラーハウス投資、郊外の土地ではどちらが向いていますか?

一概には言えませんが、住宅需要(駅近・通勤圏)が明確な土地はアパートと相性がよく、観光地・幹線道路沿い・自然環境のある土地は宿泊ニーズとの相性が読みやすいケースがあります。どちらが優れているというより、土地の性格と需要の一致が最も重要です。具体的な検討は専門家とともに行ってください。