iDeCoもNISAも始めた。でも「もう一段」が見えない——そんな感覚、32歳のあなたには覚えがあるかもしれません。中古アパート投資は「節税しながら副収入も」という話をよく聞きますが、他の選択肢と並べると、その輪郭がずっとクリアになります。優劣ではなく、それぞれの向き不向きを整理してみましょう。

「株・REIT・定期預金・中古アパート」——同じ「お金を動かす」でも、性質がまるで違う

4つを横に並べると、まず気づくのは「流動性」の差です。定期預金は元本が守られる代わりに、2024年時点でも年0.2〜0.3%程度の金利水準にとどまります。株式やREITは売買の自由度が高い一方、価格変動リスクを常に抱えます。

中古アパートはその対極に近い位置にいます。売るまでに時間がかかり、一度買ったら「やっぱりやめた」が効きにくい。その代わりに「ローンを使ったレバレッジ」と「税務上の減価償却」という、他の選択肢にはない仕組みが使えます。この2点が、節税志向の会社員に注目される理由です。

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「減価償却で税金が減る」——その効果は何年続き、その後どうなるのか

木造の中古物件は残存耐用年数が短くなっているため、減価償却費を大きく計上できるケースがあります。年収550万円の会社員であれば、給与所得と合算した際に所得税・住民税の課税ベースが下がる効果が想定されることがあります。

ただし、これは「永遠に続く節税」ではありません。耐用年数を過ぎれば減価償却は終わり、その後は家賃収入がそのまま課税対象に乗ってきます。筆者が仲介の現場にいたころ、「節税目的で始めて、5〜6年後に税負担が重くなって慌てた」という相談は決して珍しくありませんでした。正直に言えば、筆者自身も初めて減価償却のシミュレーションを見たとき、「終了後の税負担」の列が視界に入っていませんでした。出口戦略——いつ、どう売るか——を最初から考えておかないと、節税ツールが重荷に変わります。

REITと中古アパートは「何を買っているか」がそもそも違う——利回り3〜5%の金融商品か、融資を使った実物資産か

REITは不動産に連動する金融商品です。1口数万円から買え、分散投資もしやすく、分配利回りは概ね3〜5%程度のものが多い。一方で、価格は株式市場の影響を受けやすく、2022年の金利上昇局面では大きく値を下げた銘柄も目立ちました。

中古アパートは「物件そのもの」を所有します。管理の手間は自分に返ってきますが、銀行融資を使って自己資金以上の資産を動かせる点がREITとは本質的に異なります。ただし、「月20万円の副収入」という話はかなり条件が整った場合のモデルケースです。仮に自己資金500万円・物件価格3,000万円・表面利回り7%・金利2%・35年ローンという条件で試算すると、月の手残りは数万円レベルにとどまるケースも多く、実際の数字は物件・融資条件・管理費・修繕積立の状況によって大きく変わります。

「現金を動かさない」が最良の選択肢になる瞬間もある

32歳で住宅ローンがまだなら、数年以内にマイホームを検討する可能性もあるはずです。そのとき、投資ローンを先に組んでいると、住宅ローンの審査に影響することがあります。金融機関によって判断は異なりますが、借入総額の上限が意識されてくる年齢でもあります。

だから「現金をある程度手元に残しながら、少額から始められるREITやiDeCoで土台を作り、住宅ローンの目途が立ってから不動産投資を検討する」という順番も、決して消極的な選択ではありません。資産形成に「唯一の正解ルート」はないと、15年の仲介経験から感じています。

中古アパートとは別に「動かせる資産」という選択肢——トレーラーハウス投資の現実的な位置づけ

最近、アパート投資と並んで問い合わせが増えているのが、トレーラーハウスを使った投資です。PACOが手がける木造2×4構造のトレーラーハウスは、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース。物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、中古アパートよりも小さい単位からスタートできる点に関心を持つ方がいます。

「動かせる」という特性は、出口戦略の柔軟性につながることがあります。固定資産税の扱いや融資条件はアパートと異なるため一概には比較できませんが、「撤退のしやすさ」を重視するなら検討の選択肢に入れてみる価値はあるかもしれません。

次の小さな一歩——「物件探し」より先にやることがある

まずは「自分の借入余力がどのくらいか」を金融機関に確認することが、最も現実的な出発点です。投資の種類を決める前に、自分のお金の地図を作る。それだけで、選択肢の見え方はかなり変わります。焦って物件を決める必要はありません。情報を整理する時間が、後々の判断精度を上げることになります。

よくある質問

年収550万円の会社員でも、中古アパートの融資は通りやすいですか?

年収だけで融資の可否が決まるわけではありません。勤務先の属性・勤続年数・自己資金の割合・物件の担保評価など、複数の要素で判断されます。会社員は安定収入として評価されやすい傾向はありますが、物件の収益性が低いと評価を下げる金融機関もあります。まずは複数の金融機関に相談することをおすすめします。

節税目的で中古アパートを買うなら、木造と鉄骨どちらが有利ですか?

減価償却の観点では、木造(法定耐用年数22年)の中古物件のほうが残存耐用年数が短く、短期間で大きく償却できるケースがあります。ただし、節税効果が強い分、売却時の譲渡所得が増えやすいという面もあります。減価償却と出口の税負担はセットで考える必要があり、税理士への事前相談を強くすすめます。

iDeCoやNISAをやりながら、中古アパート投資も並行できますか?

制度上は並行して運用できます。ただし、中古アパートの購入にはまとまった自己資金が必要になるケースもあるため、流動性のある資産とのバランスをどう取るかが実務上の課題になります。「生活防衛資金+iDeCo・NISA掛金+不動産投資の自己資金」を同時に積もうとすると、手元資金が想定より早く薄くなる点には注意が必要です。