iDeCoとNISAを始めたばかりなのに、もう「次の手」を考えている——そういう方は少なくありません。老後2,000万円問題が話題になって以来、節税と副収入を同時に狙えるアパート経営への関心が高まっています。ただ「情報が多くて何から調べればいいか分からない」という声もよく届きます。今回は特によくいただく4つの質問に、順番に答えていきます。
会社員のままアパート経営できる?——「できる」と「うまくいく」は別の話
結論から言うと、会社員のままアパート経営をしているケースは珍しくありません。ただし確認しておきたいのが、勤務先の就業規則です。不動産所得は多くの場合「資産運用」として扱われ、副業禁止規定に抵触しないケースが多いですが、会社ごとに解釈が異なります。念のため人事部門に確認しておくことをお勧めします。
なお、会社員という立場は融資審査で「安定した給与収入」として評価されることがあり、物件取得を検討する上で動きやすい面もあります。一方で、融資の相談窓口や手続きの流れは初めてだと分かりにくい部分も多いため、早めに専門家や金融機関に相談しながら進めることをお勧めします。
年収550万円で融資はどこまで通る?——「借りられる額」より先に確認すること
金融機関や物件の種類によって大きく異なるため、一概には言えません。年収550万円前後の会社員が中古アパートの融資審査を通過しているケースは確かにあり、年収の7〜10倍程度が目安として語られることもあります。ただし勤続年数・自己資金・物件の収益性・立地によって条件は変わります。
注意したいのは、融資額の上限ギリギリで購入し、空室が続いた途端に手元が苦しくなるパターンです。モデルケースとして、空室率を5%と甘く見積もって収支計画を立てた場合、実際に15%前後で推移すると大幅な計画修正が必要になります。「いくら借りられるか」より先に、空室率10〜15%を織り込んだ月次キャッシュフローが成立するかを確認する順番が重要です。
「節税になる」の仕組みを一度だけ丁寧に整理する
アパート経営の節税効果は、主に減価償却を使った所得圧縮の仕組みです。建物の購入費用を法定耐用年数にわたって経費として計上できるため、帳簿上の所得が圧縮され、所得税・住民税の負担が軽くなる場合があります。「お金が減らずに税金だけ減る」魔法ではなく、「経費として計上できる時期をコントロールする」制度です。
モデルケースとして、年収550万円の会社員が給与所得と不動産所得を合算申告する場合、減価償却費が大きい初期の数年間は課税所得が下がり、所得税率が1〜2段階落ちるケースが想定されます。ただし耐用年数を過ぎると償却が終わり、急に税負担が上がる「減価償却切れ」が起こりえます。節税効果は「いつか終わる」前提で、10〜15年単位の収支計画に組み込むことが大切です。
トレーラーハウス投資は、アパートと何が構造的に違うのか
最近、この質問をいただく機会が増えました。編集部でも両者の構造的な違いを整理しましたので、参考にしてください。
アパートは「建物を土地に固定する」投資で、撤退や転用のハードルが高い構造です。一方、PACOが扱う木造2×4構造のトレーラーハウスは移動・撤去が前提の設計であるため、立地が合わなければ移動させるという選択肢が残ります。初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって変動します)、Airbnb等を通じた宿泊運用に向いた設計で、運営体制や立地次第で結果は異なります。
「撤退できるかどうか」はアパートとトレーラーハウスを比較するとき、意外と見落とされがちな視点です。長期固定のアパートには一定の安定感がある半面、撤退コストが読みにくい。この構造的な違いを理解した上で、自分の状況に合う選択肢を検討してみてください。
迷ったときの最初の一歩——物件探しより先にやること
「アパート経営を始めよう」と決める前に、まず自分の年間キャッシュフローを紙に書き出してください。手取り収入・毎月の支出・貯蓄額の3つが明確になっていないと、融資審査でも収支シミュレーションでも「どこに余力があるか」が見えません。
iDeCoとNISAをすでに運用しているなら、その習慣の土台はあるはずです。次のステップとして不動産を検討するなら、物件探しより先に「自分の財務状態の棚卸し」から始めることを強くお勧めします。焦って動いて修正に追われるより、半年かけて勉強した方が、結果的に判断が早くなります。
よくある質問
アパート経営の利回りはどのくらいが目安ですか?
表面利回りで8〜10%台と紹介される物件も多いですが、管理費・修繕費・空室損・固定資産税などを差し引いた実質利回りは5〜6%台になるケースが多いといわれています。あくまでモデルケースであり、物件の状態や立地によって大きく異なります。物件を比較するときは「表面利回り」と「実質利回り」の差を必ず確認してください。
自己資金はどのくらい必要ですか?
金融機関や物件種別によって異なりますが、物件価格の10〜20%程度を自己資金として求められるケースが多いといわれています。融資条件によっては自己資金を抑えてのスタートが可能な場合もありますが、仲介手数料・登記費用などの諸費用は別途現金が必要になることが多いため、余裕を持った資金計画が重要です。
副業禁止の会社員でも不動産投資はできますか?
不動産所得は「事業の遂行」ではなく「資産運用」として扱われることが多く、就業規則の副業禁止規定に抵触しないケースもあります。ただし会社ごとに規定の解釈が異なるため、事前に就業規則を確認するか、必要に応じて人事部門に相談することをお勧めします。確認せずに進めることで後々トラブルになるケースもあるため、慎重に対応してください。