法人税対策として不動産投資を検討し始めた方から、「民泊投資の利回りが高いと聞いたが、実際のところどうなのか」という質問をよく受けます。数字だけ見ると確かに目を引く。ただ私自身、1棟目の運用で「これを計算に入れていなかった」という経験があります。今回はその失敗も含め、利回りの読み方を整理してみます。
「表面利回り15〜20%」という数字は、なぜ一人歩きするのか
民泊投資の文脈でよく目にする「利回り15〜20%」は、多くの場合「表面利回り」です。計算式はシンプルで、年間想定収益÷初期投資額×100。問題は、この式の中に運営コストがほとんど入っていないことです。
実際の運営では、清掃費・リネン交換・OTA(AirbnbなどのプラットフォームへのAirbnb手数料は概ね3〜5%程度)・光熱費・消耗品費・管理代行費用などが積み上がります。これらを差し引いた「実質利回り」は、表面利回りより数ポイント低くなるのが一般的です。私の体感では「表面利回りの7〜8割が実質ベースの目安」になることが多い。あくまで個人の経験則ですが、表面16%なら実質11〜13%程度をまず想定しておく、というイメージです。
私が1棟目で見落としていたコスト——「助走期間の稼働率」という盲点
1棟目を運用し始めたとき、最初から稼働率70%で試算していました。これが甘かった。実際の最初の2〜3ヶ月は40〜50%台で推移しました。Airbnbのアルゴリズムは新規物件の露出を絞る傾向があり、レビューが蓄積されるまでは予約が入りにくいのです。
モデルケースで数字を示すと、「地方観光エリア・宿泊単価1泊1.5万円・稼働率70%」という前提では月間収益の想定は約31万円。しかし実際の最初の3ヶ月平均は18〜22万円程度でした。年間収益が当初見込みより15〜20%低く着地したのは、この立ち上がりロスが主因です(あくまで私のケース)。試算は「フル稼働時」だけでなく、「助走期間込みの年間平均」で組むべきでした。これが1棟目で学んだ最大の教訓です。
では、利回りはどう読むべきか——3つの視点
PACOの木造2×4構造トレーラーハウスを使った民泊運用では、想定利回り10〜20%(モデルケース)という数字が出てくることがあります。ただしこれは立地・稼働率・運営体制・季節変動によって大きく変わります。
利回りを読む際に私が使っている視点は3つです。①表面でなく実質で比較する、②稼働率は「目標値」でなく「助走期間込みの年間平均」で試算する、③利回りの高さより「コントロールできる変数の多さ」で評価する。特に③について言えば、固定賃料の不動産と違い、民泊は写真・価格設定・口コミ対応などの運営の工夫次第で数字が動く余地があります。それはリスクでもあり、改善余地でもあります。
税対策として見たとき、利回りとは別に「減価償却」が効く場合がある
40代の経営者の方が民泊投資を検討する場合、利回り単体より「税引き後のキャッシュフロー」で見た方が実態に近いと思います。木造建物は法定耐用年数が短く、減価償却費を所得から差し引ける構造があります。収益が出ていても帳簿上の利益を圧縮できるため、法人税の実効負担を抑えられるケースがあります。
初期投資の規模については、トレーラーハウス1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多い(モデルケース)ですが、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事によって上下します。減価償却の取り方によっても実質的な手取りは変わるため、税理士との連携は必須です。「投資として面白い」と感じた後に、必ず税務的な試算を専門家に依頼することをお勧めします。
最後に確認すべきは「最悪シナリオで赤字にならないか」という一点
民泊投資の利回りを正しく評価するには、楽観シナリオだけでなく、稼働率が想定の半分になったとき・想定外の修繕が入ったとき・季節閑散期が長引いたときのキャッシュフローを、先に計算しておくことが重要です。私が1棟目の経験から学んだのは、「最悪シナリオで赤字にならない構造か」を確認してから動くという順序でした。
利回りの数字は入り口にすぎません。「その数字がどんな条件で成立するのか」を一枚のシートに書き出してみる。それが不動産未経験の方が民泊投資に踏み出す前にできる、最も小さくて有効な準備だと思っています。具体的な試算の相談や物件事例が気になる方は、PACO Blogの問い合わせフォームからご連絡ください。
よくある質問
民泊投資の利回りは、区分マンションや一棟アパートと比べてどう違いますか?
区分マンションの表面利回りは3〜6%程度、一棟アパートで5〜8%程度が相場と言われます。民泊(短期賃貸)は運営次第で表面利回りが10%を超えるケースも想定されますが、管理の手間・稼働率の変動・季節波動が大きく、「高利回りだが運営コストと変動リスクも大きい」という特性があります。利回りの数字だけでなく、実質キャッシュフローで比較することをお勧めします。
法人での取得と個人での取得、どちらが有利ですか?
収益規模・既存の法人の状況・減価償却の取り方によって異なります。法人取得の場合は損金算入や経費の幅が広がる一方、個人取得では青色申告特別控除との兼ね合いが出てくることもあります。どちらが有利かはケースバイケースであり、税理士への個別相談が必要です。
トレーラーハウスが「建物」でなく「車両」とみなされると、何が変わりますか?
トレーラーハウスは要件を満たせば動産として扱われるケースがあり、固定資産税の対象外になる場合があります。また、建築確認が不要になるケースもあり、農地や市街化調整区域での設置が可能になることもあります。ただし、法的な判断は自治体や設置状況によって異なるため、事前確認が必須です。PACOでは設置前の法的確認サポートにも対応しています。