iDeCoもNISAも始めた。でも、なんとなく足りない気がする——そう感じている30代の方から、最近こういった相談を受けることが増えました。今回は、Airbnb投資に関心を持った34歳・会社員・年収560万円の方(以下、モデルケース)をもとに、私が実際にお伝えした内容を整理します。

「月10万円の副収入」という言葉が、なぜ滑るのか

「Airbnbで月10万稼げるって聞いたんですが、実際どうなんですか?」——これが最初の一言でした。社会人10年目、iDeCoは上限まで拠出、NISAの成長投資枠も使い始めている。そこから「もう一段」を探していた、という状況です。

話を聞きながら、私は少し立ち止まりました。「月10万円の副収入」という言葉は、前提条件を抜きにすると見通しが狂いやすいからです。Airbnb運営での収益は、稼働率・宿泊単価・清掃費・プラットフォーム手数料・ローン返済など複数の変数が絡み合います。「月10万」は結果の一側面にすぎません。

実は私自身、別の案件で稼働率を楽観的に見積もりすぎて、初月のキャッシュフローが想定の6割程度にとどまった経験があります。「聞いた数字」と「自分ごとの数字」のあいだには、思った以上に距離があります。

数字を分解したら、表情が変わった

そこで一緒に試算を整理しました。あくまでモデルケースで、個人差があることを前置きした上での話です。

稼働率65%・宿泊単価1万4,000円・初期投資1,200万円(融資利用)で組んだ場合

月の売上は概算で約27万円(30日×0.65×1.4万円)。そこから清掃費・消耗品・Airbnbの手数料(売上の約3〜5%)・管理委託費などを差し引くと、手取りは売上の55〜65%程度になるケースが想定されます。ここに融資返済が乗ってくる。月々の手元キャッシュフローは数万円のプラスになることもあれば、立ち上がり期は薄い月もある、というのが正直なところです。

「じゃあ旨味ないじゃないですか」という反応が返ってきました。でもこの段階で、私はまだ「減価償却」の話をしていませんでした。

キャッシュアウトしないのに費用が計上される——減価償却の実態

Airbnb投資でよく見落とされるのが、減価償却を使った所得圧縮の効果です。木造2×4構造のトレーラーハウスのような償却資産を持つと、会計上の費用(減価償却費)が発生する一方で、実際の現金支出は伴いません。この差が、年収550万円前後の会社員の所得税・住民税を圧縮する方向に働くケースがあります。

このモデルケースでは所得税率は20%ゾーン。仮に年間の減価償却費が100万円規模で計上されると、年20〜25万円程度の税負担が軽減されるケースが想定されます(あくまで試算・個人差あり。税務は必ず税理士にご確認ください)。月換算で2万円前後のインパクトです。キャッシュフローが薄い月でも、トータルで手元に残るお金の計算が変わってきます。

「撤退できる構造」が、背中を押した

もう一つ気にされていたのは、「ハマったらどうするか」という出口の話でした。区分マンションのような固定資産は、売却に時間と費用がかかります。一方、トレーラーハウス型の物件は移動・撤去が構造的に可能で、土地から切り離して考えられるケースがあります。「リスクのサイズ感が読める」と映ったようです。

PACOの木造2×4構造を使った運用では、Airbnb評価4.8台の実績が出ているケースもあります。ただ、それが自分の立地・運用スタイルで再現できるかは別の話。「立地選びと運営体制をどう組むかで、数字は全然変わりますよ」とお伝えしました。

3ヶ月後、言い換えられた言葉

最初「月10万の副収入が欲しい」と話していたこの方は、3ヶ月後にこう言い換えていました。「節税と、長く持てる資産形成を、リスクの読める形でやりたい」と。言葉が変わったということは、理解の解像度が上がったということだと思っています。

Airbnb投資は、ケースによってはキャッシュフローと節税の両方を手にできる構造を持っています。ただし、初期投資は1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(モデルケース)、物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します。「数字の根拠を自分で読める状態」にしてから動く——これが一番大切なことだと考えています。

まとめ:次の小さな一歩として

まずは試算の「前提条件」を自分で組んでみることをおすすめします。稼働率・単価・コスト・融資条件・減価償却の5変数を仮置きするだけで、「聞いた数字」と「自分ごとの数字」の乖離が見えてきます。その作業をした上で相談窓口を使うのが、遠回りのようで一番早いと思っています。

よくある質問

Airbnb投資は会社員でも始められますか?

融資条件や勤務先の副業規定によりますが、会社員の方が取り組まれるケースはあります。まず会社の就業規則における副業の扱いをご確認ください。融資審査では、給与所得が安定収入として評価されるケースもあります。

節税効果はどのくらい想定されますか?

減価償却費の規模や個人の課税所得によって大きく異なります。年収550万円前後で所得税率20%ゾーンの方が、年100万円の減価償却費を計上できた場合、年20万円前後の所得税・住民税が軽減されるケースが想定されます。ただしあくまで試算であり、必ず税理士にご確認ください。

Airbnbの稼働率はどのくらいが現実的ですか?

立地・シーズン・物件の差別化によって幅があります。観光需要のある地方立地で写真や口コミを丁寧に積み上げた場合、60〜75%程度になるケースが報告されることもあります。ただし開業初期は稼働率が安定しにくいため、立ち上がり期のキャッシュフローは余裕を持って試算しておくことをおすすめします。