区分マンション2戸とアパート1棟を既に持つ方が「次の一手」を考えるとき、「中古アパートが効率いい」という結論に落ち着くことは珍しくありません。表面利回りが高く見え、減価償却が残っていれば節税にもなる——そう理解している方が多いのですが、その前提には「計算ミスが起きやすい構造」がいくつか潜んでいます。本記事では、見落とされやすいポイントを順に整理します。

その「9.6%」は満室のときの数字です——空室を織り込むと手残りはいくらになりますか

物件概要に載っている利回りは、ほぼ例外なく満室想定で算出されています。ルール上の問題はありませんが、築15年超の物件でその数字を額面通りに受け取ると、現実と大きくずれることがあります。

モデルケースで確認してみます。地方郊外・築18年・8室・満室想定家賃 月48万円、表面利回り9.6%と表示された物件を想定します。実稼働率が70%なら実収入は月33.6万円。ここから管理費・修繕積立・固定資産税を差し引くと、手残りは月10万円台に落ちるケースも珍しくありません(実際の数字は物件・管理状況により異なります)。「空室率20〜30%は一時的なもの」と解釈させる売り方は、仲介の現場でよく見られる手法です。この差を事前に計算できていた方は、思ったより少ないのが現実です。

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「減価償却で節税」は、今のあなたの税務環境に合っていますか

中古アパートの減価償却による所得圧縮が機能するのは、「給与所得と不動産所得を合算した総合課税の枠組みの中で、不動産所得が赤字になる局面」に限られます。年収800万円のサラリーマン投資家で既に3物件を持っている段階では、この枠組みをどこまで使い切れているかを先に確認する必要があります。

モデルケース(架空の設定)として、既に複数物件を保有する投資家が中古アパートを追加取得した場面を想定します。「減価償却で節税できる」という説明をそのまま受け入れ、税引き後キャッシュフローのシミュレーションを行わないまま購入に進んだ結果、翌年の確定申告後に「手元に残る額が想定より少ない」と気づくケースは少なくありません。節税効果は条件次第で生じ得ますが、その「効き方」は既存物件の収支・給与水準・ローン残債の組み合わせによって変わります。購入前に税理士と数字を合わせておくことを強くお勧めします。

築20年超になったとき、次の買い手は融資を引けますか

数字に厳しい投資家ほど、入口の利回りより出口の売却価格を気にします。中古アパートで見落とされがちなのは、「築20年を超えると融資がつきにくくなる」という金融機関の傾向です。購入時に10年ローンを組んでいても、売却時の買い手が同条件で融資を受けられるとは限りません。

特に木造アパートは法定耐用年数22年との関係で、築年数が上がるほど融資期間が短くなりやすく、買い手の月次返済額が増えることで購入可能な価格帯が下がる傾向があります。「利回りが高いから買い手がつく」という想定は、金融機関の審査が締まった局面では機能しないケースがあります。出口の流動性は、購入前に明示的にシナリオを描いておく項目です。

別アセットとの比較、「同じ土台」で数字を並べていますか

「規模拡大か、別アセットでの分散か」で迷っている方に確認したいのは、「その二択、同じ前提条件で比べていますか」という点です。たとえばPACO INVESTが扱う木造2×4構造のトレーラーハウス投資は、1台あたり概ね990万〜1,500万円のレンジで検討されるケースが多く(物件仕様・サイズ・立地・付帯工事により上下します)、中古アパートとは管理構造も耐用年数の扱いも異なります。

モデルケースでの試算では、管理委託コストの構造や修繕リスクの発生パターンが中古アパートとは異なるため、表面利回りだけで優劣を比べると判断を誤りやすい。キャッシュフローの見込み・出口の選択肢・管理コストの構造を同じ軸で並べてみると、見えてくる景色が変わることがあります。

次の物件を見に行く前に、「今の3物件の数字」を棚卸ししましたか

中古アパートが悪い選択肢だと言いたいわけではありません。ただ、既に3物件を持っている段階では、「加えることで全体のポートフォリオがどう変わるか」を確認してからでないと、個別に良い物件でも機能しないケースがあります。整理しておくべきは、現在の融資余力・税引き後キャッシュフローの合計・出口を想定した場合の全体的な流動性、この3点です。次の候補を見に行くのは、この棚卸しの後でも遅くありません。遠回りに見えて、これが一番早い順番だと編集部では考えています。

よくある質問

中古アパートの「実質利回り」は、どう計算すればいいですか?

実質利回りの基本は、満室想定家賃ではなく「空室率を反映した実際の年間収入」から、管理費・修繕費・固定資産税・保険料などを差し引いた額を、取得総額(物件価格+仲介手数料+登記費用等)で割る方法です。修繕費は年によって変動幅が大きいため、「過去3年分の修繕実績」を売主に開示してもらうことが精度向上に有効です。いずれの試算も前提条件次第で数字が変わるため、楽観・中立・悲観の複数シナリオで確認することをお勧めします。

既に3物件持っている場合、融資は通りにくくなりますか?

保有物件数と融資の通りやすさは金融機関によって判断基準が異なりますが、物件が増えるほど「既存ローンの返済総額」が審査に影響しやすくなる傾向があります。年収800万円であっても、既存ローンの残債が多い場合は新規融資の条件が厳しくなるケースがあります。地方の信用金庫・政府系金融機関など複数の窓口で条件を確認し、事前に融資余力を把握しておくことが有効です。

中古アパートとトレーラーハウス投資を比べるとき、何を軸にすべきですか?

どちらが優れているとは一概に言えませんが、比較軸として有効なのは「管理の手間と委託コストの構造」「耐用年数と減価償却の残り年数」「出口時の買い手層の広さ」「初期投資に対するキャッシュフローの見込み」の4点です。中古アパートは流通量が多く情報を取りやすい反面、修繕リスクが読みにくい。トレーラーハウスは比較事例が少ないため自分で精査する必要がありますが、移設という選択肢があるなど出口の構造が異なります。いずれも「モデルケースでの試算」と「実際の運用との乖離」を前提に置いて検討することが重要です。