老後2,000万円問題が気になりだして、iDeCoもNISAも始めた。でも「もう一段」という気持ちが出てきたとき、多くの人が思い浮かべるのが不動産、なかでもアパート経営です。「節税しながら副収入が得られる」という話は30代会社員の耳に届きやすく、関心を集めやすい選択肢の一つです。ただ、実際に動く前に整理しておくべきことがあります。
「節税になる」は本当か——帳簿の赤字と財布の赤字は別物
アパート経営が節税になるといわれる理由の一つは、減価償却費を経費に計上できることです。建物の取得価格を法定耐用年数にわたって毎年費用として計上できるため、帳簿上の赤字が出やすく、それが給与所得と損益通算されて所得税・住民税が減る、という仕組みです。
ここで見落とされやすいのが「実際のキャッシュフロー」です。帳簿上は赤字でも、ローン元本の返済は経費になりません。現金は確実に出ていきます。節税効果と手元資金の動きを混同した結果、毎月の収支がじわじわ苦しくなる——これが、アパート経営でよくある失敗の典型です。年収550万円・住宅ローンなしの段階だからこそ、焦らず数字を分解する余裕があるはずです。
モデルケースで見ると、何が起きるか
以下は架空のモデルケースです。実在の個人を特定できないよう設定を変えており、実際の投資成果を示すものではありません。
32歳・年収550万円・独身・住宅ローンなしのモデル(以下「Mさん」)が、都心から1時間ほどの地方都市に築15年の木造アパート(1棟4室・取得価格3,200万円・フルローン)を購入したケースを想定します。表面利回りは8%と見えていましたが、1年後に直面した数字は次のとおりです。
Mさんの年間収支(試算・架空のモデル)
満室時の年間賃料収入は約256万円(8万円×4室×12ヶ月)。しかし空室が1室出た期間が4ヶ月あり、実収入は約227万円。管理委託費・固定資産税・修繕積立・火災保険を合わせた年間経費が約38万円。ローン返済(元利合計)が約180万円。手残りは約9万円。一方、減価償却費の計上により所得税・住民税の還付が年間約21万円(前提:課税所得450万円・税率33%)。トータルで見ると年間30万円のキャッシュ改善という試算です。
数字だけ見れば悪くありません。ただしこのモデルで「想定外」として浮かび上がるのは、大規模修繕の積立が薄かったことと、空室が出たときの精神的な負荷です。副収入というより「小さな事業を持った」感覚に近く、関わり方の覚悟が問われます。
木造アパートの外に、運営を委託できる選択肢が増えている
従来のアパート経営の外に、近年は「1棟単位で客室を購入し、運営はすべて委託する」という形の選択肢も出てきています。編集部が扱うPACO STAYもその一つです。木造2×4工法のトレーラーハウスを客室として使い、旅館業の許可取得・予約・清掃・メンテナンスまで運営は当社グループが担う仕組みです。
1棟1,453万円〜(プロジェクトにより異なります)。想定利回りは7.7〜14.6%(前提:稼働率35%・1泊32,000円の試算。いずれも保証なし)。分割払い(最長10年・審査あり)を利用した場合、自己資金0円で始められるケースがある一方、月々の支払いが月額送金額を上回る場面では差額が持ち出しになります。また、車両運搬具(動産)として法定耐用年数4年・定率法で減価償却するため、課税所得が高い方ほど初期の節税効果が出やすい試算になります。ただしこれはあくまで試算であり、税務上の効果は個人の課税状況によって異なります。
「節税」は目的ではなく、構造を理解した先についてくるもの
アパート経営でも、グランピング施設の客室購入でも、節税を「目的」に設定すると判断がぶれやすくなります。減価償却が終わったあとのキャッシュフロー、出口(売却・乗り換え)の選択肢、空室リスクや修繕コストの読み方——これらを先に整理したうえで、節税は「ついてくる効果」として捉えるほうが、判断の軸が安定します。
iDeCoとNISAをすでに動かしているなら、長期の資産設計の土台はできています。次の一手を焦る必要はなく、「どんな構造でお金が動くか」を確認する段階かもしれません。
まとめ——最初の具体的なアクションは「試算を頼む」こと
物件を買う前に、まず「自分の年収と課税所得で、減価償却の恩恵はどれくらい出るか」を税理士に試算してもらうことが現実的な第一歩です。その数字が出て初めて、アパートなのか別の選択肢なのかを比較できるようになります。
PACO STAYの詳細や販売中のプロジェクトは こちらのページ からご確認いただけます。資料請求や個別のご質問も受け付けております。
よくある質問
年収550万円でアパート経営の節税効果は出ますか?
課税所得の水準によって効果は変わります。年収550万円・独身・各種控除後の課税所得が仮に400万円前後であれば、所得税・住民税の合算税率は30〜33%程度になるケースがあります。その場合、減価償却費が100万円増えると税負担が30〜33万円減るという試算になりますが、実際の効果は給与控除・社会保険料・iDeCoの掛金など個別の条件で変わります。税理士への確認を先に済ませておくと、物件選びの比較軸が明確になります。
住宅ローンを組む前にアパートローンを借りると、後で影響はありますか?
一般的に、金融機関は住宅ローンの審査で既存の借入状況を確認します。アパートローンの残債が大きいと返済負担率の計算に影響し、住宅ローンの借入可能額が下がるケースがあります。将来の住宅購入を視野に入れている場合は、融資の順序と総量について事前に金融機関やFPに確認しておくと判断材料が増えます。
PACO STAYは通常のアパート経営と何が違うのですか?
最大の違いは「運営を自分で担うかどうか」です。通常のアパート経営では入居者募集・賃料管理・修繕対応などをオーナーが主体的に関わります。PACO STAYは旅館業の許可取得から予約・清掃・リネン・メンテナンスまで運営を当社グループに委託する仕組みで、オーナーの運営負荷は小さくなります。一方、宿泊施設のため稼働率が変動しやすく、月額送金額も稼働状況により変化します(試算:稼働率25%で月108,667円、35%で176,800円、45%で244,933円)。どちらが自分のライフスタイルに合うかは、関わり方の希望と収支の読み方で判断が変わります。